「レモンの香りを嗅ぐと頭がシャキッとする気がする」
そんな経験はありませんか?
実は、その感覚には科学的な裏付けがあるかもしれません。
今回はレモンの香りと脳の関係について、です。
2023年に発表された研究で、レモンの精油を嗅ぐことで記憶力のテスト成績が向上し、その変化が脳波でも確認されたことが世界で初めて報告されました。
今回は、この研究の内容をわかりやすく解説します。
【注意事項】この記事は学術論文(Ueda et al., 2023)の内容をもとに作成しています。医療的な診断・治療を目的としたものではありません。
どんな実験をしたの?
この研究は、東京大学などの研究チームが行いました。
参加者は、嗅覚に問題のない健康な成人男性24名(平均年齢 約22歳)です。
3種類の精油を嗅ぐ前と後に記憶力テストを行い、同時に脳波(EEG)を測定しました。
また、香りのない「コントロール群」との比較も行われました。
使われた3種類の精油
実験で使われたのは次の3種類です。
いずれもジプロピレングリコール(DPG)※無色無臭のアルコールに10%の濃度に希釈して使用しました。
| 精油名 | 原料 |
|---|---|
| レモン精油 | イタリア産レモンの皮 |
| サンダルウッド精油 | 南インド産サンダルウッド |
| クスノキ精油 | 日本産クスノキ |
記憶力のテスト「2バックタスク」とは?
行われたのは「2バックタスク」というテスト。
画面に次々と文字が表示され、「2つ前の文字と今の文字が同じかどうか」を判断していきます。
「ワーキングメモリ(作業記憶)」を使う課題として、研究でよく使われる方法です。
結果:"レモン精油" だけ 記憶力テストのスコアをUP!
3種類の精油のうち、記憶力テストの成績を有意に(=偶然ではない確かな差として)改善したのは、レモン精油だけだったそうです。
サンダルウッドとクスノキには、記憶力テストに対する明らかな改善効果は確認されませんでした。
脳波でも「レモンの変化」が見えた
しかも、テスト成績が上がっただけではありません。
実際に脳波の測定でも、レモン精油を嗅いだあとに特定の脳の部位で変化があったそうです。
活性化されたのは「デルタ波」と「シータ波」という脳波。
論文では、デルタ〜シータ波(低周波帯域)は記憶の符号化(覚える)・検索(思い出す)に必要な情報処理の基盤となる、ということです。
特にシータ波(前頭正中部)は、記憶を覚え、保持し、思い出すという一連の働きに強い影響を及ぼすのだそうです。
つまり、記憶し思い出す、という能力がレモンの香りで活性化される、ということですね。
その他の変化
他にも、論文では、複数の脳の部位で活性化が報告されています。
- 前頭前皮質(前帯状回・眼窩前頭皮質)
- 上側頭回
- 海馬傍回
- 島皮質
難しい言葉が並んでますが、これらの部位は記憶や感情の処理に関わっているんだそうです。
そして、このような精油吸入後の脳の変化を脳波(EEG)を使って明らかにしたのは、今回が世界で初めての研究なんだそうです。
サンダルウッドとクスノキはどうだった?
残念なことに、どちらの精油も記憶力テストの成績を改善する効果は確認されませんでした。
まとめ
- レモン・サンダルウッド・クスノキの3種類のうち、記憶力テストを改善したのはレモン精油だけ
- 脳波(EEG)でも、記憶・感情に関わる脳の部位がレモン精油吸入後に活性化
レモンの精油がただの「気分転換」ではなく、脳に働きかける可能性があることが、科学的にも示された研究のご紹介でした。
ぜひ、お仕事や勉強の際にレモン精油を楽しんでみてくださいね。
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参考文献:Ueda K, Horita T, Suzuki T. Effects of inhaling essential oils of Citrus limonum L., Santalum album, and Cinnamomum camphora on human brain activity. Brain Behav. 2023 Jan 9;13(2):e2889. doi: 10.1002/brb3.2889. PMID: 36624922; PMCID: PMC9927848.
監修:IFA国際アロマセラピスト 山田奈保