ゴールデンウィークが終って約1カ月。
いつもの生活にすでに戻っている方も多くいらっしゃると思います。
だけど
長期休暇の後、気持ちが切り替えられない…。
頭がボーっとして集中できない…。
いわゆる「五月病」の症状、誰でも一度ぐらいは経験したことがあるかもしれませんね。
マイナビニュースが2026年5月8日にマイナビニュース会員400人を対象に実施した調査では、GW明けに心身のコンディションが「悪化した」と答えた人が約33%、つまり3人に1人は不調を感じていることが分かりました。
悪化を実感した人のうち、「業務・作業中」に特に不調を感じた人が20%以上でした。
仕事中に「なんとなく頭が回らない」「集中できない」という経験をしている方は、決して少なくないんですね。
そこで、今回ご紹介したいのが、“ローズマリー精油と集中力” の関係を調べた科学研究です。
実は、英国ノーザンブリア大学の研究で、ローズマリー精油の香りを嗅ぐだけで集中力と反応速度が有意に向上することが確認されたのです。
今回は、この研究の内容をわかりやすく解説します。
【注意事項】この記事は学術論文(Moss & Oliver, 2012)の内容をもとに作成しています。医療的な診断・治療を目的としたものではありません。
五月病の「集中できない」に、ローズマリーが効く!?
五月病は「気分が落ち込む」「やる気が出ない」だけではありません。
仕事を「休みたい・・」「環境を見直したい・・」などネガティブな感情を抱く人が 73.4%もいることがわかっています。
このようなとき、私たちは「頭が思うように働かない」「集中が続かない」といった感覚を覚えやすくなります。
英国ノーザンブリア大学の実験【人間で世界初の確認】
研究を行ったのは、「ペパーミントと運転パフォーマンス」の研究でも知られる英国ノーザンブリア大学のマーク・モス教授チーム(Moss & Oliver)です。
2012年に国際学術誌「Therapeutic Advances in Psychopharmacology」に論文として発表されました。
▼ 実験の方法
参加者は、健康な成人ボランティア20名(女性12名・男性8名、平均年齢約23歳)。
精油を4滴垂らした専用のディフューザーパッドを、縦2.4m × 横1.8m × 高さ2.4mの部屋に置きました。
5分後、精油成分が広がった部屋に参加者が入り、4〜10分間滞在します。
その後、3種類の集中力・記憶テストを受け、テスト終了後に参加者の静脈血を採取しました。
参加者たちには「気分と認知の関係を調べる研究」とだけ説明し、ローズマリーの精油が関係しているとは知らせませんでした。
結果:集中力テストの成績がアップ!
テスト後に採取した血液を分析したところ、全員の血中にローズマリー精油の主要成分である「1,8-シネオール」が検出されました。
これは、人間を対象としたアロマ吸入研究として世界初の確認だそうです。
(それ以前は動物実験でのみ確認されていました)
そして、血中の1,8-シネオール濃度が高い参加者ほど、集中力テストの成績が良かったのです。
▼ 血中濃度と認知テスト成績の関係
3種類のテストでは、ローズマリー精油の成分濃度が高いほど、「計算の正確さ」や「反応の速さ」が向上する傾向があったそうです。
通常、人は急いで作業をすると、反応は速くなる一方でミスが増えやすくなります。
これは「速さと正確さのトレードオフ」と呼ばれるものです。
しかし今回の研究では、反応速度が上がっても正答率は低下していませんでした。
つまり、焦って速く答えたけど正答率が下がった、ではなく、「速さ」と「正確さ」の両方が維持・向上していたことになります。
この結果から、ローズマリー精油の香りが、集中状態や脳の処理効率に良い影響を与えた可能性が示されたんです。
1,8-シネオールはなぜ集中力に効くの?
研究チームによると
そもそも、ローズマリー精油に含まれる「1,8-シネオール」は、鼻腔・肺の粘膜から血液に吸収され、血液脳関門を通過して、『脳』に直接作用する可能性がある
そうです。
その上で、研究チームによる研究結果の考察をわかりやすくまとめると、このようになります。
(1)「私たちの脳の中の記憶・集中・注意などの情報伝達を助ける成分としてアセチルコリン」という良い物質がある
論文では、「アセチルコリン」の量が多いと、集中力・記憶力に関わる神経活動が続きやすくなる、とあります。
(2)一方で、この良い物質「アセチルコリン」を分解してしまうAChE(アセチルコリンエステラーゼ)という酵素が存在する
つまりAChE(アセチルコリンエステラーゼ)はアセチルコリンを減らす=集中力・記憶力が落ちやすい、または続きにくい、と言えますね。
(3)ところが、今回の主役「1.8シネオール」は、AChEの働きを抑える可能性がある
ちょっと混乱してきましたね。
つまり、ローズマリー精油に含まれる1,8-シネオールは、記憶や集中を支える「アセチルコリン」の減少を防ぐことで、頭がスムーズに働くのを間接的に助けている、ということですね。

「好きな香り」じゃなくても効く?
今回の実験で、もう一つ興味深い結果が出ています。
「ローズマリーの香りをどのくらい心地よいと感じるか」と「認知テストの成績」の間には、まったく関係がなかったとのことです。
つまり、ローズマリーの香りが好き・嫌い、この話を信じる・信じない、といった「気分や期待感」に関係なく、実際に脳の働きに作用している、ということですね。
五月病シーズンの使い方
そんなローズマリーの効果を知ると
「なんとなく頭が重い」「仕事に気持ちが乗らない」という五月病の時期こそ、生活に取り入れてみる価値がありそうですね。
実験では、ローズマリー精油4滴をアロマストリーム(ファン式アロマディフューザー)に垂らし、小部屋で4〜10分間香りを漂わせていました。
▼ おすすめの使い方
- アロマディフューザーで、作業を始める5〜10分前から部屋に香りを広げる
- ティッシュやコットンに1〜2滴垂らして近くに置く
▼ 特に試してほしいシーン
- 連休明けでエンジンがかからない朝
- なんとなくぼんやりして作業がはかどらない日
- 試験・プレゼン・大事な締め切り前の集中タイム
- テレワーク中の集中力アップに
まとめ:連休明けで集中できないときは、まずローズマリーを嗅いでみて
今回の内容をまとめますね
- 連休明けに心身のコンディションが「悪化した」と感じた人は30%以上
- ローズマリー精油の有効成分(1,8-シネオール)が実際に人間の血液に入り込むことが、世界で初めて確認
- ローズマリー成分の血中濃度が高いほど、「速さ」と「正確さ」の両方が向上
- 「香りの好み」に関係なく、脳への作用が確認された
五月病の季節や長期連休明けに「頭が働かない」と感じたとき、デスクにローズマリー精油を1本置いてみてください。
ただの「気分転換」ではなく、科学的にも集中力や頭の回転との関係が示されている香りです。
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参考文献:Moss M, Oliver L. Plasma 1,8-cineole correlates with cognitive performance following exposure to rosemary essential oil aroma. Ther Adv Psychopharmacol. 2012 Jun;2(3):103-113. doi: 10.1177/2045125312436573. PMID: 23983963; PMCID: PMC3736918.
参考データ:マイナビニュース「『五月病』実感した人は32.7% GW明けに増える"朝の不調"」(2026年5月12日)https://news.mynavi.jp/article/20260512-4452695/
監修:アロマセラピー専門家 山田奈保(英国IFA認定)